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身体から始まる女王様系SM※未完
R18 アブノーマルプレイ有り
お題:熱い小説家 制限時間:30分 文字数:1730字
 ――いつだったか、官能小説家を自称するオヤジに弄ばれた時に言われた言葉を思い出した。

「白紙に文字を刻むことと、若い娘の白磁の肌に白濁を刻むことに、何の違いがあろうか」と。

 私はそれに何と答えたか――と考えながら馬術用の鞭を振るう。「ぐぅっ」とくぐもった声と共に跳ねる背中。ぎしりと鳴った、柱に取り付けられた手枷。
 私だけじゃない、あらゆる人間の怨嗟や恨み辛み――場合によっては恋情――が白い跡として刻まれた、広く筋肉質な背中は白磁の輝き。その陶器の上を赤い血が滑り落ちる。

 それに得も言われぬ興奮を覚え、恐らく以前に指摘された癖と同じように小鼻を膨らませながら、びしり、力一杯また鞭を振るう。
 振るえば振るう程に、男の吐く息は重くなり、反対に私の心は軽くなる。

(――それでは、嫌がる娘を踏みつけて解放する白濁と、そんな幼気な娘が恨みを込めて振るう鞭で流れる赤に何の違いがあるというの?)

 そう聞きながら、いそいそと私を組み敷いた、胴から鼻まで団子のように丸くて、人好きのする爺そのものの顔をした、作品のネタに詰まって、タコ部屋の女子高生なんて買った官能小説の御大に鞭を振るうイメージ。

 ぴしり。
 
 次の一撃は、娘程に年の離れた女編集者に紳士的に接し、自分の原稿を読まれる度に赤面しながら恐縮する御大が、まさか涎と涙と鼻水をいっしょくたに流す己の姪と同じような年齢の小娘の口を、美しい音律を生み出すというふくふくとした手でもって塞ぎ、「ごめんね、いっしょにヨくなろうね、ごめんね」なんて言いながら腰を振っているとも知らず、今日も姪っ子に性的な目を向けているという、見たこともない御大の編集の男へ。
 その、恐らく既に喰われたであろう姪っ子の代わりなどという名目で、実際に私を性的な目で見ていた伯父に。

「ぐううううっ!」

 その度、遙か昔、中国の后が罪人を焼いたという柱と同じく、部屋の上から下を貫く太い鉄の柱に頬を寄せながら、丸い口枷の間からごぷりと水のように涎を吐き、身もだえする。

 ――やめてやめて、もう許して。お願い。もう痛いのはいやだ。上手におしゃぶりしますから。おしりも、ゆびのさきもなめますから。ちゃんと飲み込みますから、だからもうやめて、そんな所にそんなもの――




「……っ」

 それを見て、時折、罪人を鞭打つ私の耳には鞭の打擲音と混じって、甲高い、幼い子どもの泣き声が聞こえ、力の限り鞭を振るって、もう感覚の無い指先が鞭を取り落としそうになる。
 まるで、私が私を辱めた男達になって私を打っているような、そんな錯覚が、自覚は無いが、時折私の手を鈍らすらしい。

「ぅ……」

 同じ所ばかり何度も打たれ、もう背中の感覚も無いだろうに、その度にこの男は美しい眉に力を入れ、恍惚と苦痛が入り交じって真っ赤に火照った女のような顔の、唯一吊り目で切れ長の涙目をじっと私に向け、人間の好き勝手に扱われる家畜のように従順に、しかし断罪者のように、己を辱める私をば睨み上げるのだ。

「そんな目で見るな、グズが!」
「ぐぅああああああああああ!」
「こんなものが!! こんなものがあるからそんな生意気な目をするんだ!! あたしを道具みたいに扱う目をするんだ!!」

 その瞬間――私の頭は真っ白になり、気付けば、ギシギシと断続的に手枷が鳴り――男はぐったりと手枷に体重を乗せて床に辛うじて膝をつき。
 私は、今まで振るっていた鞭を、彼の、男らしくも線の細い、辱められる少女のような足のあわいから抜き取るのだ。
 思い切り叩かれたそこが充血しているのは、興奮でか、それとも打擲によって鬱血し、勃起が治まらなくなったのか、ただの娘である私には分からない。

「……一発で出したのかよ、ドMの上にそーろーとか。救いようねぇなぁ」
「うぅうっ……」
「それとも何か? 嬉しすぎてお漏らししたのかよ。いい年して、事務の女に叩かれて?」

 舌打ちと共に、ぬめるボクサーパンツの膨らみに汚れた鞭を擦りつけると、期待にか恐怖にか、膨らみは益々大きくなり、私はその隆起が前者によってもたらされると知る。


 私はこの男が
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