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即興小説まとめ。
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今年の顔というけれど
R15
お題:去年の表情 制限時間:15分
「去年に表情があったなら、一体、どんな顔をしていたろうか」
大晦日から元旦に日付が変わった深夜、抱えた膝に顎を乗せ、そうベッドの上で呟いた彼女の昨年一年は、まぁ何とも悲惨なものだったことを、隣で同じ寝具の間に寝そべり、そんな彼女を見上げた俺が保証しよう。
まず、彼氏でも何とも無い俺と寝ている彼女は、昨年の始めまで、処女であるどころか、キスさえも経験の無い生娘だった。
……というより、まだほんの子どもだった。
「きっと、嘲笑を浮かべてるんじゃと思うのよね」
敏感で、ほんの少し脂肪が付いた、細やかな膨らみの下の肋骨と、その下の心臓を抱え込むように腕を組んで丸まって、疲れた顔をして形頬で皮肉げに笑う。
彼女は、実の所、今年数えで15歳。見る人からみれば、まだほんの子どもなのだ。
そんな彼女は、昨年の成人の日、義務教育の筈の学校を辞めることになりーー皮肉なことにその日、一足先に大人へとなった。
普通の子どもどころか、子どものような大人さえ知らないルートで売りに出され、素敵な初夜というのを迎えたのだった。
相手は屈強な男が三人。
カメラを回されながら。
まぁ、なんて素敵なのでしょうとは、彼女の言だ。
それからの彼女の住処は、繁華街のワンルームへと変わり、家から一歩も出ない生活が始まった。
これで、お姫様のように煽てられて甘やかされたなら、私もその気になったかもしれない。
これも、彼女の言だ。
だけれど現実はというと、客の来ない日は水とコンビニ弁当だけ。
食べ物でない物まで食べさせられて、粘膜で出来て居る場所は全てまさぐられ。
お姫様はおろか、致す以外に使い勝手の無い、そういう道具のように扱われた。
私は、そんなに悪いことをしただろうか。
あちこちを叩かれながら、まさぐられながら舐められながら。
繰り返した問いの帰結が、「生まれたことが悪いことだった」となると気づいたのが夏のこと。
その頃、急にコンビニ弁当さえ届かなくなり、猛暑の中、ついにエアコンまで止まった。
生まれたことは悪いことだろう。
――だけど、しにたくない。
そんな一心で部屋を飛び出した彼女を、向かいのマンションに住む俺が拾って約半年。
彼女は俺のペットとして暮らしている。
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