> 蛇足編 > ちぃちゃんの話 > 2
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濃厚なエロありです。
 ちぃちゃんの所で一緒に暮らし初めて、初めてソレが起こった時。
 うーちゃんは、夜中にいつもなら決して離れないちぃちゃんの横から静かに抜け出して、よりによって二人が初めて交わった仏間に逃げ込んでいた。
 朝になって、居なくなったうーちゃんを探しに来たちぃちゃんは、中から衣擦れが聞こえたその襖を一気に引き開けた。
 薄暗い部屋の中、部屋の隅に敷いた布団で上半身裸で膝を抱えたうーちゃんは「来ないで、ばっちぃから触らないで」と初めてちぃちゃんを強く拒否した。
 パジャマ代わりの半パンは、汗と精液でぐっしょりと濡れて酷い有様で。
 高熱の余韻の中、どうにかTシャツだけは脱いだらしいうーちゃんは、気持ち悪そうに膝をすり合わせながら、顔に掛かった髪の中で、スンと小さく鼻を鳴らしていた。
 まるで、おねしょを見つかった小さな子どもみたいだと、その時、ちぃちゃんは思った。
 ちぃちゃんだって年頃だったから、そのうーちゃんの身体を汚しているものが、大人にしか起こらないことだと分かる年齢だったけども。
 今日は何処を侵略した、誰を殺してしまったと、綺麗な顔を喜悦に染めて楽しそうに話すうーちゃんの。
 ちぃちゃんを好き勝手に犯しながら、それを合意の上での行為だと本当に思っているうーちゃんの、初めて見せた「人間」みたいな弱さ。
 その時、ちぃちゃんは急に胸の奥がきゅうんとし、次には仏間に入り込み、俯くうーちゃんの顔を上げさせた。
 困ったように自分を見上げるうーちゃんは、乾いた汗や目尻に浮いた涙で綺麗な顔が台無しの、それはそれは酷いありさまで。
 だから――ちぃちゃんは初めて、自主的にうーちゃんの唇に口づけて。そのドロドロでばっちぃ脚の間に座り込んで。未だ熱を持ったそこに、自分の腰を押しつけるようにして、うーちゃんに抱きついた。

「好き。うーちゃん、すき……」

 今にして思えばそれは、ちぃちゃんが初めて、うーちゃんを愛しいと思った瞬間だったのだと思う。

「ちぃちゃ……んぅ」
「好き、うーちゃんが、いっぱい好き……」

 ちぃちゃんはそう言いながら、何度もちぃちゃんの綺麗なのに寝起きでカサついた唇に口付けて、そのうちに唇だけでなく、汗や涙で濡れた頬や目尻にも口付けて、小さく舌を這わせた。
 そのうち息が続かなくなって来て、うーちゃんから顔を離し、はぁと息をつき、大きく息を吸う。
 途端、狭くじめじめとした部屋中に漂う青臭さと汗の臭いを肺一杯に吸い込んで蒸せた。蒸せながら、それでいて酷く興奮して、じわりと目尻から涙が落ちた。

「ちぃちゃん、ちぃちゃん……」

 気付けば泣いていた筈のうーちゃんはちぃちゃんの細い腰に両脚を絡めて、縋るように抱きついていた。ちぃちゃんは服ごしにくっつきあった腰を小さく揺らしてみる。
 べちゅ、べちょ、と、いつもならちぃちゃんが立てるようなはしたない音が、くっつけた腰と腰の間からして――やがて堅いものがすり付けられた。

「んくっ……ちぃ、ちゃん」
「……かわい」

 ちぃちゃんは、うーちゃんとまた唇を合わせて、口の中で縮こまっている舌に舌を絡ませ扱き上げて唾液を吸って。

 ――……もっと、かわいいうーちゃん、みたい。

 汗でぬるつく胸を滑り落ちるようにして身体を落として、ぐっちょりと濡れて白く乾いた跡のある半パンの、ゴムの所に手を掛けた。

 綺麗なうーちゃんの――ちぃちゃんには綺麗な所しか決して見せようとしない、壊れたうーちゃんの――汚い所を見て、ちぃちゃんは初めて思ったのだ。
 ちぃちゃんみたいに汚れちゃったうーちゃんを、綺麗にしてあげたくて、それと同じくらい、もっと汚してあげたいと。
 ちぃちゃんは、そう思ったのだ。

「うーちゃん、腰、あげて……」

 だから、手を掛けた半パンをずるっと一気に引き下ろした。いつもうーちゃんがちぃちゃんの脚の間を、べちゃべちゃに舐め回した後にぐちゃぐちゃのドロドロになった下着を脱がせる時に掛ける言葉を耳元で囁いて。
「や、ちぃちゃんや……っ」
「……や、じゃない」

 抵抗するうーちゃんに思い知らせるように、ぐっと半パンのゴムを引っ張り、べちんと間抜けな音をさせる。それの振動にぶるっとお腹を震わせたいうーちゃんは、真っ赤になった顔を両手でおさえて隠したまま、促すように引っ張るちぃちゃんに合わせて、僅かに腰を上げた。

 綺麗な癖に綺麗な腹筋から腰までの筋肉を半パンが滑り降りて、膝の下まで落とすと、ちぃちゃんはヌルヌルとした粘液を纏わせて、いつも見る時より元気の無い物をじっと見下ろした。

「……べった、べた」
「いわ……な……い……で」

 思わずぽつりと呟いた声への返答が、つむじの上に熱い吐息混じりで返る。うーちゃんがちぃちゃんに頬を寄せるように俯き、その荒い呼吸が首筋に入り込んだ。それだけでちぃちゃんは背中がゾクゾクとして、それを逃がすようにして頬をうーちゃんの胸にすり寄せる。

「んっ……ちぃ、ちゃん」

 すると、うーちゃんがちぃちゃんの華奢な背中に両腕を縋るように回し、ちぃちゃんをぎゅっと抱き寄せた。

 ――……くるし?

 ちぃちゃんが見上げて目で問うと、うーちゃんは頬を染めたまま目を伏せて、フルフルとちいさく首を振って、その代わりに更に強くちぃちゃんを抱き寄せる。
 はふ、と、ちぃちゃんから漏れた吐息がうーちゃんの肌に当たって、ちぃちゃんの耳に当たるうーちゃんの呼吸を荒くした。
 それがどうしようもなくちぃちゃんの胸をきゅうっと締め付けて高鳴らせて――愛しい気分にさせて。

「……じゃ、もっと、しよ?」
「ちぃちゃ……ん、ぁっ!」

 ちぃちゃんは少し顔を下げて、うーちゃんの腹筋に何度も小さなキスを落としながら顔を下に下ろして行って。精液に汚れた下腹部と腹筋の境にまで達し、筋肉の溝に溜まった白濁を、ちゅくりと控えめに啜った。

「だめ……ぺっ、って、してちぃちゃん、きたないから!」

 今まで疲労と排泄のの余韻とで、ぼーっとしていたらしいうーちゃんが、両手でちぃちゃんの頬を押さえて上を向かし、狼狽した顔でちぃちゃんを見る。
 思い切り首を引っ張られたちぃちゃんは、だけれどそれで開きそうになった口をぎゅっと閉じて片手で押さえることでガードして。

「ん……くっ……けふっ、ごほっ」

 結果として、うーちゃんとしっかり目と目を合わせたまま、それを味を見るように舌の上で転がして、喉を嚥下させてゆっくりと飲み込み、くはぁと、詰まった吐息と共に口を開けるまでの一連の動作を全て見られることになってしまった。
 舌に絡まった数滴は生臭く、それでいてピリピリと舌が痺れさせた。けれどうーちゃんのそれは噂で聞いたような吐く程不味い物でなかった。
 飲み込み辛いそれを飲み込もうとして震える華奢な喉を捕らえて、うーちゃんが一層目を見開いて、こくり、と喉を上下させる。

「ちぃ……ちゃん、なんで……?」

 それもやっぱり可愛く見えて、ちぃちゃんは返事の代わりに首を傾げて、自分の顔を包むうーちゃんの両手をそっと外して――自分がどんな顔をしているか、全く意識することなく自然に微笑んで首を傾げた。
 そして、そんなちぃちゃんの様子にうーちゃんが息を飲んだ隙に更に身体を下げ――僅かにだけ持ち上がっていたうーちゃんのモノに両手を掛けて持ち上げて、ベタベタに汚れた砲身にチロリと小さく舌を這わせた。

「はうっ……や、やめて、ちぃちゃん! はずかしいから、ばっちいからあぁ……っ!」

 珍しく狼狽えたうーちゃんの声に、ちぃちゃんは腰の辺りがゾクゾクして、止めようと頭を掴むうーちゃんの手を軽く振って払い、さっきより熱を持ったその側面にちゅう、と、少し強めに吸い付いた。

「んぅ……」
「んくっ……ね、ちぃちゃん、いいこだから、てぇ、離して?」

 苦みに思わず眉をしかめ、うーちゃんを包む手に思わず力が入る。それにうーちゃんが唸ったのを、おずおず見上げたちぃちゃんに、うーちゃんはそう、荒くなった息を整えながらそれでも笑顔で言った。
 けれどちぃちゃんはむっと頬を膨らませると、ぶるぶると頭を振ってそして。

「ちぃちゃん! だめっ……!」

 大きく口を開けて、ふくらみ出した先端をがぶりと口に含んで舐め出した。
 くちゃ、べちゃと大きく唾液の音を立てると、弱々しいうーちゃんの否定は聞こえなくなって、ちぃちゃんは自分の手の中でどんどん持ち上がり、口の中で上顎を押し上げて頬の中を擦り上げる熱にばかり集中した。
 口の中が一杯になるのは苦しいけれど、口の中の粘膜が擦られるのは
今までで散々慣らされたキスとはまた違って心地いいと、ちぃちゃんは初めて知った。
 吸いつくというのがこんなに気持ちがいいから、うーちゃんはちぃちゃんの小さな胸ばかり執拗に吸うのかも知れない。
 気付けば手の中の熱はちぃちゃんの手のひらを押し返すくらいの張りを持ち、ビリビリと舌が痺れ、その痺れがうーちゃんに背骨を撫でられた時のように背中から腰の間に落ちて行くように感じられて。

「はぁ……あぁ……あ、ちぃちゃん」

 ふと、今まで軽くちぃちゃんの頭を掴んでいたうーちゃんの手が、ちぃちゃんの髪を梳いて、耳を撫で、そのまま口の端を垂れる涎を拭った。うーちゃんの手はひんやりと冷たくて、それでちぃちゃんは、自分の頬が紅潮していることを知った。
 頬の火照りを冷ます手のひらの感触にうっとりしながら、一杯になっている口の中をうがいでもするように震わせながらうーちゃんを見上げると、うーちゃんは恍惚と苦悶の半分混ざったような顔で、長い睫を伏せてちぃちゃんを見下ろしていた。
 それに心臓が壊れそうになるくらいドキドキした時、くっと眉間に皺を寄せたうーちゃんの右目から、一筋涙がこぼれた。
 それが何の涙かちぃちゃんが考えるより早く。

「ごめん……ごめんね、ちぃちゃん!」

 うーちゃんはそう叫んで、ちぃちゃんの頭を押さえつけて、ちぃちゃんの口に向け、ぐっと腰を突き上げた。
 手で止めるまでもなく、唾液で塗れた唇を端がピリピリするくらい開いて、一杯に含まされた粘膜を刷り上げて、入らないと思っていた奥までぐいっと突き入れられた。

「うぐぅ……」
「ごめん、お願い、すぐ終わらすから、ごめ、ごめん、ごめん……!」

 言葉の通り、白い頬を赤く染め、ちぃちゃんから視線を逸らすように目線を落としたうーちゃんは、ちぃちゃんの小さな口の中にがむしゃらに突き入れてすぐ果てた。
 出る、と、喘ぎ混じりに小さく言ったうーちゃんは自身をちぃちゃんの口から引きだそうとしたけれど、ちぃちゃんは喉の奥を突かれた苦しさで口全体に力を入れて吸い上げるようにしてしまった。
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