あたしとマサの出会い編
アナザー:君の幼なじみ
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初出:2013.09
途中まで
同じ診断メーカーで、『ツンデレニート』と出た時に途中まで書いて断念したBL。
本編中の”キミちゃんの幼なじみ”とは彼のこと。
 切っ掛けといえば今回もアネキだった。

「すーちゃんーぅー! おねーちゃんのおへやにわすれものがいっぱいあるよぉ」

 受話器から聞こえた舌ったらずの甘えた声に、俺は電話口で頭を抱えた。
 アネキは元々が甘ったれで語尾の伸びた話し方だが、仕事の時以上の媚びモードは前日の酒が抜けきってない証拠だろう。

「あのね、忘れ物ね、いっぱいでもってけないからすーちゃんとりにきてっ」
「アネキ……外出する服がねーよ……」

 もーすーちゃんのドジっこさぁんとケタケタ笑う声に、電話の子機を床に叩きつけてやろうかと思いつつ、何とか耐えた。
 ……どーせ、俺の運動神経だと自分の足におもくそ投げつけるのがオチだし。

 すーちゃんこと俺は昴。所謂、自宅警備員という奴をやっている。
 給料という名の小遣いは月十万。支払いはアネキ。
 仕事は、一応はアネキの所有物であるこの2LDKマンションの管理と、アネキとアネキの女の子に群がる面倒な客の排除だ。
 面倒な客はお持ち帰りするフリをしてここに送らせ、俺が彼氏よろしく女の子を回収するという仕掛け。

 つっても腕っ節は全くたたないので、殴り合いの喧嘩をしたりはしない。主にアネキだけを回収するドアマンだ。
 そこら辺のニートと一緒にしないで欲しい。身長百六十、体重も五十そこそこの男の自宅警備にはそれなりのテクニックが要るのだから。
 他にも精神的、肉体的苦痛も沢山あり、中々厳しい仕事である。
 ――正直、給料があって、実質一人暮らしで、アネキが客に組ませたデスクトップが使えなけりゃ、すぐに辞めている。

「えーっ、服ならおねぇちゃんのあるでしょぉ?」
「ねーよ!」

 いぶかしげな声をあげるアネキに俺は思わず頭を抱えた。
 確かにいつもなら、衣装部屋になっているアネキの部屋に出勤用と同伴用と貸付用のドレスがぎっちり詰まっている。
 まぁ、あっても絶対に着ないが。

「だって昨日、『クリーニングの日』だったろが」

 アネキの頭から都合良くすっぽぬけている事実を突きつけると、電話口ではしばしの間があった。

「……あぁ! だからかぁー」
「だから着る服がねーんだよ」
「あたしのお部屋にすーちゃんの服、いーっぱいわすれものされてるの」
「いってぇ……」

 がくっと項垂れた拍子に電話台向かいの壁におもっくそ頭をぶつけた。
 月一の『クリーニングの日』はアネキの気まぐれで決まる。
 しかも大体、コンビニ以外家からほぼ一歩も出ない生活をしている俺が珍しく外出している時だったり、眠っている早朝だったりする。

「自分で洗うの面倒なのーっ!」

 と、衣装部屋から一回以上袖を通した衣装とソレに付随する下着やガーターベルトなどを運び出し一括でクリーニングに出すのだ。
 曰く、「あたしはすーちゃんと違って綺麗好きだからがまんできないのーっ」ってことらしい。
(部屋に洗濯機が無く、俺が私物を持参するまで掃除機どころかフローリングモップもなかった癖に!)

 で、その『綺麗好き』には、アネキの部屋の一部とカウントされている俺も勿論含まれていることになる。
 数着しかない俺の一張羅(某洋服メーカーのブカブカジャージ)と、アネキが買い与える滅多に着ない外行きのワードローブ、あげくに下着までやシーツのたぐいまで持って行かれるのだ。

「アネキと違って全部ちゃんと洗ってる」

 と言っても、

「すーちゃんの洗ってるなんて信用できなぁい。どーせお風呂の後に洗面器とボディソープで洗ってるんでしょ!」

 と、反論され、否定できず。しかも服も、ジャージ以外はほとんどアネキの配給なので逆らえずだ。

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この後、ねぇちゃんの部屋着を着て電車に乗ることになり、ねぇちゃんの婚約者のサド野郎に(男)に痴漢を働かれての痴漢プレイに持ってこうとしていた筈。
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