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ちぃちゃんとうーちゃんの日常
プロローグ
プロローグ:『僕』のこと。
本編
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4
前日碑
- 連載を意識して書いた部分です。
うーちゃんの独白で、眠りにつくまでの世界の断片です。
僕の見た夢
- 2013/09/16更新
1
2-1
あらすじ:
ウロボスこと、うーちゃんが10年ぶりに目覚めたその時。
世界は終わり、病院の地下にある秘密結社は天井をぶち抜かれて瓦解し。
一緒に育った線の細い幼なじみはガタイのいい義手の男になり。
そうして、目覚めたばかりのうーちゃんの足下に跪いてこういいました。
「おはようございます、首相」と。
見た目中学生の怪人×ガタイのいい義手の悪の頭領の、ぐだぐだたまにヘヴィな日常風景。
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> 本編 > 1
1
初出:即興小説
お題:愛すべき暗殺者 制限時間:15分
「ちぃちゃん!!」
背後に気配を感じて振り返った俺の、咄嗟に繰り出した肘を避け、その下に回り込んで。
「おう、なんだいうーちゃん」
斜め後ろから抱きついて来たそれが胴に回す細く白いーー一箇所だけが微妙に色の違う両腕を、ポンポンと軽く叩く。
「あのね、ちぃちゃんに朝の挨拶をしようと思ってね、それでね」
「おうおう、ゆっくり喋れや」
「なにさちぃちゃん、ちぃちゃんのくせにー!」
ついでに頭を撫でてやると、うーちゃんはぷくっと、その肌理の細かい頬を膨らませた。
うーちゃんは、細身の15歳くらいの少年だ。
だけど実年齢は俺と同じ25歳になる彼は、器用にも頬の膨らみを保ったまま、少女のように美しい顔をぐりぐりと俺のわき腹に押し付けた。
「そーやって子ども扱いしないでよ! ちょっと前まで、僕のがお兄ちゃんだったのに」
昔は俺より背の高かったうーちゃんは、今は俺の胸くらいの身長しかない。
そして、彼の当時の年齢は俺と同じ10歳で、あの頃は俺の方が、彼の胸くらいしか身長がないちびだった。
「ていうかお前、俺より先に皆に挨拶済ませたのか?」
「まーだ! ちぃちゃんが最初!」
うーちゃんは……ウロボスは、世界を転覆させようと目論んでいた悪の組織という、なんともベタな組織の最高傑作なのだ。
そして、作者は息子の命を盾に取られた俺の母。
――そして、今は。
「じゃあ今済んだだろ。行ってこい。みんな楽しみにしてるんだから」
「はぁい。ちぃちゃんってば再会してから優しくないー!」
ぶつくさ言いながら俺に促されて執務机の端に置かれた館内放送用のマイクに手を伸ばした、少女のように可憐で純真な、俺の唯一の幼馴染は。
「おはよーございます! ウロボスです! 今日もみんな、仲良くして下さい。お腹いっぱい食べて下さい。家族を大事にして下さい。そしたら僕はいっぱい嬉しいです」
その、ベタベタな悪の組織を滅ぼした俺が立てた、新しい組織の首領である。
というか、とある理由から、組織に於いて、現人神とまで崇められている。
――うーちゃんは知らないが、主に、俺のせいで。
「お前なぁ……もうちょっとかっこいいことは言えないのか?」
「かっこよくなくていいよ! 大事なことだもん! 僕のことを神様だっていうみんなが、美味しいご飯を食べて、好きな人といたゃいちゃして、明日を信じられたら僕は嬉しいの!」
そう言って笑顔で胸を張る度に、捲り上げたシャツの袖からちらりと見える、二の腕に出来た小さな傷。
それを目にする度に、俺の、義手と肉との境目がチクチクと痛むことに、恐らくこの幼なじみは気づいてなど居ない。
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